研究課題/領域番号 |
09650616
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三橋 博三 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90091751)
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研究分担者 |
桐越 一紀 東北大学, 工学部, 教務職員 (60240660)
野村 希晶 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80125632)
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キーワード | セメント系複合材料 / 充填特性 / 軽量化 / 高強度化 / 高靱性化 |
研究概要 |
本研究は、セメント系複合材料の軽量化、高強度化そして高靱性化を目的とし、それらの性能を兼ね備え得るような材料の条件、それらの適切な組み合わせの条件及び有効な作製プロセス等を実験的に検討すると共にマイクロメカニクスの立場から考察を重ね、そのような性能を有する材料の開発並びに設計方法の提案を試みようとするものである。 本年度は、マトリックス材料の調合に当たり、充填理論を適用してどのような構成要素をどの程度の割合で混合すれば、どの程度の充填特性を有するかを把握した。特に本年度は、セメント系複合材料の軽量化と高強度化を目的として、骨材に微細な中空軽量骨材を用いると共に、粉体の充填特性を考慮した調合方法の開発、並びに人工軽量骨材と鋼繊維を組み合わせて軽量化と高強度化に加え、靱性の付与も期待した複合材料開発の実験的検討を行った。前者の実験では、密度が1.3〜1.7g/cm^3程度で、圧縮強度が70〜110MPaと、従来開発されてきた軽量高強度モルタルあるいはコンクリート(密度が1.2〜1.8g/cm^3で圧縮強度が35〜65MPa)に比べて非常に定密度かつ高い圧縮強度を達成することができた。これは、用いた微細な中空軽量骨材の特性が強固な中空体であること、骨材を除いたマトリックス部の最密充填が実現できていること等がその要因であることが明らかになった。一方、後者の実験では、人工軽量骨材と鋼繊維を組み合わせた結果、その圧縮強度は人工軽量骨材の性能に大きく依存し、鋼繊維混入による圧縮強度改善の貢献はあまり大きくないことが明らかになった。また、せん断におけるひび割れ抵抗性能については、鋼繊維の混入によりプレーン軽量コンクリートに比べて約30%のせん断強度の増大とピーク以降の高い靱性を実現できること、そして比較的長い繊維を混入することにより、少ない繊維量でも高いひび割れ抵抗性能を実現できること等を明らかにした。
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