軸組み工法による木造住宅では、地震時の繰り返し水平力により、柱・上台接合部が引張や圧縮力およびせん断力を受ける。本研究では、スーパージョイントで接合された柱・土台接合部の引抜き耐力および変形性能を改善する為の新しい工法を提案し、その有効性確認のため以下の実験を行った。 断面105mm角のすぎ材を用いた柱試験体を91体作製し、スーパージョイントおよび新案の柱端部補強材を取り付け、土台からの引抜き力をlOt油圧ジャッキにより作用させた。柱端部補強材は、座金付きボルトまたはガラス繊維補強プラスチック(GFRP)の引抜き成形品でできた角型管で、柱材端部を横拘束し、スーパージョイント取り付けボルトにより同柱材が割裂かれるのを防ぐ役目をする。 実験変数は、上記柱端部補強材のうち、座金付きボルトの場合は座金寸法(20×20×3mm、40×40×5mm、60×60×8mmの3種類)とし、GFRP角型管の場合は厚み(5mm、7mmの2種類)および長さ(20、40、60、80、120mmの5種類)で、それらの補強効果の比較を行った。主な測定項目は、接合部の引抜き力-変位関係である。結果、スーパージョイント接合部の変形能力は、無補強のものに比べ、補強材を用いた全ての試験体で改善がみられた。しかしながら端部補強を座金付きボルトで行った場合は、その有効性が低く実用性に乏しい結果となった。一方、GFRP角型管の場合は、柱端部補強材の長さが80mm以上の場合に明らかな変形性能の改善に加え耐力の上昇も見られた。 さらに、スーパージョイントを用いた実大3層フレーム(高さ8.43m、幅3.64m)を8体作製し、地震時を想定した水平加力実験を行い、構造フレームでの柱・土台接合部の挙動について観測し、上記接合部引き抜き実験結果による接合部モデルを用いたフレーム解析結果との比較を行った。結果、本研究で用いた接合部モデルの妥当性が検証された。
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