内接する240面体を基調として、直径16cmの球殻に均等に配分された361点の小さな突起とその中央に内径2mmの孔をあけたものを感部とする大気圧検出装置を試作した。球殻の内圧は大気圧と風圧とからなっており、球殻に作用する抗力を荷重計により別途に同時計測して、風圧に換算し、風圧の成分を分離するという動作原理である。 風洞を含めた室内実験では無指向性、動特性とも、所期の性能が得られたため、11年度の計画通り、潮岬風力実験所で野外実験を実施した。自然の大気乱流中では計測システムに若干の欠陥が見出され、大気圧変動の最小スケールの検出はできなかったが、部分的には抗力、内圧の風圧成分に準定常仮定が成立していることが判明し、風洞での一様流で対応可能であることが証明された。なお分単位のスケールの現象については、ほぼ完全に大気圧変動が検出され、移動性高気圧の接近時の上昇トレンドの中に風圧の数倍に及ぶ変動があることがわかった。 研究の結果は本年6月21〜24日にコペンハーゲンで開かれる第10回風工学国際会議に“On a reference pressure detecter and an example of the field data in a natural wind" と題して発表することになっている。
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