本研究補助金により、以下のような研究成果を得た。 (1)建築構造物の施工時においては、すでに完成している部分は死荷重により変形している。それに続けて、すでに変形が生じている部分に新たなを部材を接合していくことにより構造物を作っていく。そのため、施工時に構造物に初期不整が導入されることになる。この施工時の応答量を解明するための解析手法を作成した。 (2)部分構造剛性法を用いて構造物の施工手順とほぼ同様の手順で剛性行列を作成した。プレキャスト複合構造物を対象として本手法の有用性も例証した。この構造物の施工時に導入される不整の解析を行った。 (3)満足度を指定した建築構造物のファジィ設計問題の定式化を行った。クリスプな最適設計問題の解を用いることにより、目的関数に対するファジィ制約を決定する方法を提示した。この問題に於いて、設計変数はファジィ数であり、ファジィのα-レベル集合の理論が使われている。このファジィ問題の解はクリスプな最適設計問題の解から直接的に導くことができる。この閉形解は設計時に構造物の部材を決めるのに有用である。設計者はサイズがファジィ設計変数に含まれる部材を選べばよい。 (4)水平力下の多層多スパン骨組の満足度指定設計問題の定式化を行った。この問題は保有水平耐力のファジィ制約と骨組重量のファジィ目的関数を採用したファジィ最適設計問題である。この問題のファジィ設計変数の厳正解の閉形表現を誘導する方法を提示した。
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