コンクリート部材・構造にとって最も危険な終局破壊、すなわち主筋破断による破壊を引き起こす主筋の座屈を、コンファインドコンクリートの性能、主筋の塑性ひずみ履歴と関連づけて解明することを試みた。研究方法において、鉄筋ロードセル(主筋の局部を焼き入れ・高強度化し、その部分に貼付したひずみゲージの測定値から主筋の分担荷重を得る方法)という新しい方法を採用している点に特徴がある。なお、鉄筋ロードセルの精度改善に伴う諸検討のため主筋破断に対する実験・考察は行えなかった。 得られた主な結果を以下に示す。 (1) 単調単軸圧縮荷重をうけるコンファインドコンクリート内に配筋された、主筋の座屈時ひずみの推定式を誘導した。すなわち、横補強筋の平均拘束応力大きさの二乗、および間隔の狭小化に比例して増加し、コンクリート強度および横補強筋の降伏強度に反比例して減少する、等を明らかにして座屈ひずみの推定式を導いた。 (2) 局部焼き入れした「鉄筋ロードセル」は鉄筋に作用する軸力を明確にとらえること、座屈時の判定方法として有用であることを明らかにした。 (3) 繰り返し荷重下での主筋座屈は、高精度の鉄筋ロードセルによって可能になった、主筋と主筋を取り巻くコンファインドコンクリートの圧縮力分担の解明から、主筋の繰り返し応力-ひずみ曲線での骨格曲線、ならびに主筋周りのコンファインドコンクリートの応力-ひずみ特性(損傷状況)と関連づけて推定できる可能性を見いだした。
|