研究概要 |
本研究は鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)長柱の現行設計式を,既往の実験および本研究で行う実験により検討し,より合理的なSRC長柱の耐力評価式を提案することを目的とする. 現在は座屈長さ・断面せい比,圧縮力の偏心量,鋼材の配置を実験変数とした試験体36体を製作している段階である.座屈長さ・断面せい比の値は4,8,12,18,24,30の6種類を選び,圧縮力の偏心量は断面の核半径の0倍(中心圧縮),1倍,3倍,5倍を設定している.内蔵のH形鋼は強軸曲げとなる配置を基準としているが,一部,弱軸曲げとなる場合も加えている. また,SRC長柱の実験に関して既往の実験データの収集と整理を行い,データベース化しており,今後の設計式の検討に用いる準備を行っている. 解析では,等偏心の圧縮力を受けるSRC柱の耐力を,座屈長さ・断面せい比,コンクリートの圧縮強度,引張鉄筋比を解析変数として求めた.内蔵鉄骨はH形鋼で強軸に配置している.解析耐力とSRC規準による耐力を比較すると,長柱域で偏心量の小さい場合に,SRC規準による耐力はかなり安全側の耐力評価をすることがわかった.耐力評価法として,筆者らが鉄筋コンクリート長柱に対して提案した耐力と,内蔵鉄骨に対して鋼構造塑性設計指針に示されている耐力を用いて,Pδ効果を考慮した現行の累加強度式を用いれば,解析耐力を精度良く評価出来ることを明らかにしている.今後,実験との対応,H形鋼が弱軸に配置された場合の耐力評価を検討する予定である.
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