研究概要 |
本研究は、コンクリート部材に生じる乾燥収縮ひび割れの発生時期を予測することを目的にしており、そのために、コンクリート部材に発生する応力(乾燥収縮応力)を正確に解析し、ひび割れ発生実験から得られるひび割れ発生時期との関係を明らかにする手法を取っている。乾燥収縮応力を解析するために有限要素法を用いるが、その計算には多くの材料定数が必要になり、このことが本解析手法における問題点と言えるが、部材内各点の材料定数を的確に把握できるようになれば、ひび割れの発生時期の予測も可能になるものと思われる。 今年度は、(1)コンクリートのクリープ特性に関する実験、(2)コンクリート部材の乾燥収縮ひび割れ実験、の2つをおこなった。実験(1)では、クリープ発生源になるセメントペーストの圧縮クリープ特性に関して、水セメント比(W/C=30,40,50,60%)をパラメータにした実験をおこなった。一部実験を終了したものもあるが、実験は現在も継続中であり、載荷期間が1年程度の段階で、クリープ関数を構成する予定にしている。実験(2)では、JIS原案に示されているコンクリートの乾燥収縮ひび割れ実験をおこなった。コンクリートの調合を3種類(W/C=30,40,50,60%)、乾燥開始材齢を3,7,28日、長期(1年程度)に設定し、ひび割れ発生時期およびひび割れ発生までの拘束鋼材、拘束コンクリートのひずみを測定した。実験はほぼ終了したが、実験データの解析は次年度に予定している。 以上が平成9年度の実験内容で、その他に、有限要素法を用いた乾燥収縮応力解析システムの構築をおこなった。
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