研究概要 |
昨年度に作製した供試体を用いて、普通コンクリート(呼び強度21)の乾燥収縮ひび割れ実験を行った。さらに、同一の呼び強度、スランプ(呼び強度24、スランプl8cm)を持つ軽量I種コンクリートならびに普通コンクリートを用いて、乾燥収縮ひび割れ実験および圧縮クリープ試験を行った。乾燥収縮ひび割れ実験では、乾燥開始材齢を3,7,28日とし、ひび割れ発生時期を推定するために、直接引張強度試験も実施した。その結果、ひび割れはすべての軽量コンクリート供試体に発生したが、普通コンクリートには一体もひび割れの発生は認められなかった。軽量コンクリートのひび割れ発生時期は乾燥開始材齢が遅くなるほど遅くなる傾向を示した。また、軽量コンクリートの乾燥収縮ひずみは普通コンクリートの約2倍程度の大きさを示したが、これがひび割れ発生の容易さの原因と考えられる。圧縮クリープ実験では載荷時材齢を3,7,28日として、載荷荷重は強度の30〜35%に設定し、シール状態(Basic Creep)および乾燥過程下(Total Creep)のクリープひずみを測定した。その結果、Basic CreepおよびTotal Creepともに、軽量コンクリートと普通コンクリートはほぼ同一のひずみ量を示すことがわかった。なお、クリープ実験では載荷期間は一般に1年以上と長く、実験は現在も継続中である。 ひび割れ発生時期を予測するために、有限要素法(F.E.M.)による乾燥収縮応力解析システムを開発し、昨年度実施したひび割れ実験の結果を解析した。解析方法は、供試体内に発生する応力と直接引張強度を比較し、その比(引張強度比)が1を越える部分の面積を全体の面積に対する比として算出し、その結果とひび割れ発生時期とを比較するものある。その結果、引張強度比が1を越える面積比が40〜50%に到達した場合、乾燥開始材齢に拘わらずひび割れが発生することがわかった。
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