研究概要 |
1. 1995年兵庫県南部地震の震度7の激震地域の一つである神戸市東灘区において,地震を経験し生き残ったコンクリートブロック塀の構造実態調査結果,震災直後に同じ東灘区に設定した帯状調査区域で行った被害調査結果および1997年3月と5月の鹿児島県北西部地震によるブロック塀の被害調査結果を照らし合わせて,塀の倒壊パターンや塀の構造と被害について検討した。これらの結果より,RC造基礎がなかったり,縦筋の基礎への定着不備などにより,縦筋とRC造基礎とが一体となっていない塀が多く,倒壊した塀は塀の基礎天端の壁体脚部より転倒や大きく傾斜していた塀が多かったことを明らかにした。また,無被害の塀と倒壊した塀の構造を比較すると,無被害の塀は縦筋やRC造基礎および直交壁を有する塀の割合が高く,縦筋やRC造基礎および直交壁は塀の耐震性に大きな影響を与えることが調査からも明らかとなった。特に,直交壁は塀の転倒防止に対しては有効であることが分かった。 2. 補強材とブロック塀との接合で,補強された塀の実態調査においても多く使用されていて,また施工も簡単で安価なボルト接合に関して,ボルト接合部周辺のブロックの耐力に関する実験を実施した。平成9年度の予備実験を参考にし,ブロック種類,厚さ,ボルト径,座金種類およびブロックの支持条件などをパラメータにした24種類のそれぞれ3体の試験体計72体に対して実験を実施した結果,ボルト接合方法は利用可能であることが確認できた。 3. 上記の結果に大分の既存ブロック塀の調査結果を加え,耐震性に問題のある多くのブロック塀の耐震性向上の1つとして,直交壁を利用した方法について検討した。
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