1. 実験的研究と数値解析資料収集を進めている。 2. PC鋼棒を組み込んだ平面正方形の単層2方向格子ドームを対象とし、PC鋼棒に導入する初期軸力の大きさ、載荷荷重の分布形を実験変数とし、初期軸力導入試験並びに中央集中載荷、非対称載荷実験を行った。その結果以下の結論を得た。(1)PC鋼棒の初期縮みによって与える初期軸力導入量は、縮みが大であるほど制御しやすく、目標値とほぼ一致した。初期縮みの小さいものでは目標値とのずれが大きくなった。(2)PC鋼棒の初期軸力が消失することにより、荷重と載荷点変位関係に剛性の低下が確認された。導入軸力量が大きいものほど、剛性低下の生じる荷重が大きかった。(3)中央集中載荷時には、初期導入軸力の差異が座屈荷重に及ぼす影響は小さく、座屈荷重はほぼ同程度であった。非対称載載荷時には、初期導入軸力が大であれば、座屈荷重が大きくなり、本実験では9%程度の増加を示した。(4)座屈荷重を節点あたりの値で表すと、中央集中載荷に比べて、非対称載荷の座屈荷重は、ほぼ、10%から16%程度低下し、その低下の度合いは初期導入軸力が小さいほど大であった。 3. 2.で示した単層2方向格子ドームの座屈実験結果と、離散的取り扱い法による数値解析との比較を行い、変形性状、座屈荷重、座屈モードについて、以下のような結論を得た。(1)解析から得られた座屈荷重は実験値に比べ中央集中載荷時に8%、非対称載荷時に20%程度大きな値となった。特に非対称載荷時に実験結果との誤差が大きくなった。(2)解析による座屈モードは、非対称載荷時には、実験結果とほぼ一致し、中央集中載荷時には実験と異なる結果を得た。(3)載荷点釣合経路の解析結果は初期剛性や座屈点までの実験結果と良く対応した。 4. 数値解析による設計資料収集を効率良く行うために、解析データ作成用プリプロセッサーを開発した。
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