研究課題/領域番号 |
09650643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
早坂 洋史 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40142195)
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研究分担者 |
小島 秀吉 札幌市消防局, 消防科学研究所, 消防司令補(研究職)
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キーワード | バックドラフト / 爆燃 / 付着火炎 / くん焼 / 自己消炎 / ゴ-スティング火炎 / フラッシュオーバー / 酸素濃度 |
研究概要 |
バックドラフト発生モデルの開発するために、本年度は、小型の区画火災実験装置を改良し、側壁に特殊な耐火ガラスを張り、区画内の火災の進行状況を詳細に観察した。この結果、区画内の火災は、時間と共に、進行し拡大して行くが、開口部が小さく流入空気量が限られているため、次第に区画内の酸素濃度、特に天井付近の酸素濃度が低下し、火災点火用のクリブに生じた火炎は勢いを失うことが観察できた。この後、バックドラフトに到るまでの過程は、 1.火炎はクリブを離れ区画内をランダムに動き回る、所謂、ゴ-スティング火災を呈する。 2.ゴ-スティング火炎は、開口部に移動し付着火炎となり、流入空気量をさらに低下させた。この結果、区画内の酸素濃度はさらに低下し、燃焼を維持できなくなり、自己消炎した。 3.自己消炎後、区画内には肉眼では火炎が観測できない、しかし、有限の燃焼速度を有する状態、即ち、くん焼(スモルダリング)状態が数分間以上、続いた。 4.くん焼が持続していくが、開口部から空気の流入があるので、区画内の酸素濃度が徐々に増加し、ある時点で天井付近からバックドラフトが発生した。 5.バックドラフトは、天井付近の小さな炎から生じ、火炎先端は約1m四方の区画内を1秒以下で走り抜け、開口部から区画外へ噴出しファイア-ボールを形成した。 6.バックドラフト後は、開口部に付着火炎が形成され、自己消炎→くん焼→バックドラフト→付着火炎という、上記2-6までの過程を繰り返す。バックドラフトは、一度の実験で多いときには5回以上少ない時でも2回は観測された。 来年度は、一連の実験で、温度とガス濃度分布を詳細に測定しているので、これらを基に爆発現象的な解析を加え、バックドラフト発生モデルをできるだけ具体化しようと考えている。
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