研究概要 |
本研究は,空調システムの省エネルギー的運転のための,「不具合の発見・検知」と「最適運転制御」という2つのカテゴリーに分けることができる。 A. 「不具合の発見・検知」に関する研究 1) 故障の影響を知るための研究として,ダクト末端の圧力センサー異常など,種々の故障を想定し,この不具合による消費エネルギーの増加をシミュレーションで確認する 研究を行った。 2) 可変風量ユニットの故障実験データを用いて,ARXモデルを用いたシステム同定を行い,そのシステムの特性変化から故障を発見する手法を開発した。 3) 上記の手法で周波数特性を見いだし,その特性から故障の検知と診断を行う手法の研究を行った。 なお,2),3)の研究は東京電力の研究棟にある,実際のシステムを用いた実験データを利用して検証している。 B. 「最適運転制御」に関する研究 1) 蓄熱槽の消費エネルギーや二酸化炭素の排出を最小にする最適な運転方法を確立するため,まず,建物の熱負荷を予測する研究を行った。予測の手法は,ニューラルネッ トなど種々の方法を比較検討し,どの手法が最適かどうかを検証した。 2) 蓄熱槽に蓄熱する熱エネルギーは,冷房時には,なるべく高温で蓄積するのが,伝熱損失を防ぎ,冷凍機のCOPを向上させる意味で適切である。しかし,高温すぎると要求熱負荷が処理できず室温が上がる。このバランスを考慮して,最適な冷凍機出口温度 を求めるアルゴリズムと,それが実ビルに適用できるプラットフォームを開発した。
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