研究概要 |
(1)現有する人工気候室は気温と湿度の制御のみ可能な簡易型の気候室であるため,気流の速度・性状を制御できない。そのため,気候室の気流吹き出し壁面に各種の扇風機を設置して気流速度・性状を制御することにした。被験者の在室時と不在時,扇風機の運転時と停止時について室内気流速度の分布を熱式風速計によって測定し,気流速度平均値の等高線を描き,扇風機運転かつ被験者在室の場合に被験者顔面近傍における気流速度が約1.0(m/s)になることを目標として扇風機の種類,設置場所および運転条件を調整し決定した。なお、今回、室内風速測定用の小型超音波風速計の利用が可能であったので,風向も考察した。 (2)実際に被験者をもちいて発汗,皮膚温,鼓膜温と主観申告の測定実験をおこない,測定法,実験スケジュール等を検討した。その結果,長時間在室によるセンサー脱落や被験者の疲労などの弊害が明らかになった。特に両面テープによって背中に貼り付けた発汗センサーは、発汗による接着力の低下というよりは被験者の姿勢変化にともなって接着部が変形した結果はずれやすかった。今後測定方法およびスケジュールに工夫が必要である。疲労軽減のためには椅子を木製スツールから背付ビニール張り椅子に替えることで対応することを考えている。 (3)発汗の経時変化は個人差が極端に大きく,また入室前の運動状態,食事等の条件によっても異なる傾向が見受けられたが,一方で同一実験条件下の総発汗量は一定の範囲内におさめることができた。 (4)気流感の申告法については文献調査により,新規に開発する必要のあることが明らかになった。
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