騒音のうるささに関する日本語と英語の共通の尺度を構成することを目的として、日本語と英語が堪能な45名のバイリンガルの方を対象として、騒音のうるささの表現語に関する調査を行い、日本語と英語の対応関係を検討した。 調査項目は、申請者らが作成した騒音のうるささに関する日本語の4〜7段階の尺度の英語への翻訳、回答者自身による日本語と英語の4〜7段階の尺度の構成、日本語と英語でそれぞれ最適と思われる尺度の構成、J.M.Fieldsによって提案された英語の4段階尺度の日本語訳、騒音の有害な影響を受けるときに用いる表現および回答者の属性である。 回答者45名のうち、日本語を母国語とするもの25名、英語を母国語とするもの16名、その他のヨーロッパ語を母国語とするものが4名であった。騒音の有害な影響を表すのに日本語では「うるさい」が一般的に使われるが、英語では“noisy"、“bothers"、“annoying"などがよく使われる。尺度の段階数が6段階以上になると、中間の段階で選択頻度の高い程度表現語(副詞)がなく、日本語と英語に対応する言葉が多岐にわたるため、日英共通の尺度構成は困難である。また、うるささの程度を表すのによく使われる言葉として、日本語の「少し」には“a little"と“slightly"、「かなり」には“quite"と“very"、「非常に」には“very"と“extremely"が相当する。日本語と英語の一意的な対応関係を求めるには、心理音響実験等による検証が必要である。
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