アレルギー喘息の最大の原因とされているダニ及びカビアレルゲンは、建築的にはカーペットが最大の発生源であると考えられているが、その工学的対策は極めて不十分である。前年度は、(1)文献的調査を行い、(2)定量法の基礎的な見当を行い、(3)カーペット内部における粉塵の挙動についての観察、検討を行った。今年度は、前年度に引き続きカーペットからの粉塵の除去の特性と、その予測を中心に研究を進めた。先ず、実用的な真空掃除機による吸引除去を試験するための吸引装置の開発、その特性の決定を先ず行い、適切な濾材、構造、吸引率を求めた。これを用い、実カーペットに粉体を散布し、吸引後の重量の増加を計測することによって、粉塵の除去率の変化を求めた。カーペットは毛足5mmのポリエステル中密度のものと、毛足7mm高密度のものを用い、掃除機で十分掃除した新品のカーペットの上に試験用7種粉体2gをガーゼに包み直接散布した。カーペットには目路をパイルと平行に描き、これに沿ってダストをカーペット1枚につき10回直接吸引し、ダスト残留量を電子天秤で測定した。この結果からダスト残留量関係式を導き出した。カーペットなどに対する特性値が得られた。カーペット上のダストを掃除機により完全に除去するのは非常に困難であると考えられる。
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