前年度の風洞実験結果を基に、今年度は実物建屋の換気回数を、ビデオ画像信号値の減衰曲線から測定する方法について検討した。換気測定は延べ百数十回行った。その結果、実物建屋における本測定法の有効性が明らかになり、次の結果を得た。 換気回数は、回帰直線の算定範囲を、始点として撮影開始直後に生ずる画像信号値の平衡状態を除くために画像信号最大値Imaxの90%となる点を選び、終点は線形性が確保できる画像信号の最小値を下限値として、その間で回帰直線を最小自乗法により算定し、その傾きより換気回数を求めた。 トレーサーとして白色発煙筒を用いた場合、絞り2.8で、ペデスタルレベルが減衰分布に及ぼす影響を考慮し、最適と思われる5.75に調整して実測を行った。画像濃度測定は粉塵濃度測定の換気回数と12%の誤差で換気回数を測定できた。次ぎに白色発煙筒は可視化トレーサとして広く使用されているが、粉塵を多量に放出するので、実測に適した芳香臭のトレーサミストであるスモークミストの適用性を検討した。カメラ調整はベデスタルレベル5.75、絞り2.8とした。ビデオ画像の濃渡減衰法はSF6ガス濃度減衰法と比べて6%の誤差で換気回数を測定できることが判り、可視化トレーサーとして発煙筒の煙粒子とスモークミストの間に換気回数の測定精度の差はなかった。
|