(1) 凍結条件すなわち摂氏0以下においても、液相水分は存在し、凍結課程、凍結量に支配的影響を与える。この性質を考慮した、凍結課程を解析する熱水分同時移動方程式を導出した。圧力系は、独立に算定できるので、変化方程式は、基本的に、圧力一定の場合と変わらない。この方程式の特性を数値解析により検討し、移動境界型の方法により数値解析できる事を示し、差分法による数値計算法を示した。また、擬線形化法による解析法について、擬線形化支配方程式の導出を行った。 (2) 内断熱の建築壁体を対象に、外界気象条件が変化する場合について、凍結課程を数値解析により解析し、建築壁体における含氷率変動のの特長を明らかにした。厳冬期を2か月とするとその間には周期定常に達しない、飽和は約2ヶ月ご外表面側で生じる等の特長があった。 (3) 凍結課程は、履歴の影響が大きいと考えられる。そのため履歴課程の解析法について検討を行った。履歴課程の解析法は非常に複雑であり、大量の計算資源を必要とする。基礎的な検討課題として、履歴課程を持つ、熱水分移動課程について、比較的単純なケースのついて、数値、計算法を開発し、周期変動に対する計算法の提示と、数値解析を行った。 (4) カナダCRC(建築研究所)と協同研究として得た、多孔体(グラスウール)の凍結融解過程のγ線装置による変化過程の実験値の解析に着手し、上記モデルによる解析により、実験結果を解析できることが、ほぼ明らかとなった。この解析は現在も継続中である。
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