研究概要 |
平成10年度の研究においては,昨年度の「みつはま生活博物館」がまちづくり活動に大きく寄与することの指摘をもとに,子どもと大人の協働型まちづくり学習のあり方とその可能性を検討したものである。 (1) 子どものまち空間認識の検討 生活博物館を中心にしたまち空間を,小学校低学年及び中学生がどのように認識するかをカメラによる投影法で検討した。その結果,小学生はまちなかの小自然に,中学生では生活博物館を含めた建物と働く人に多く目を向け,まち空間認識の違いが明確であった (2) 子どものまち要素の認識の検討 小学校中・高学年に対するアンケートで,まち景観,まちの生業,まちづくり意識についての把握を試みた。その結果,まちの古いものに対する価値は認識するものの,その保存や有効活用に対しては意識が低い。しかし,祭りやコミュニティ行事へ積極的に参加している子ども達の中にはそれらの意識が高いものが多く見られた。 (3) まちづくり学習ハンドブックの試み みつはま生活博物館活動と子どものまち空間認識をもとに,小中学生及び現場教師の意見も採り入れつつ,子どものためのまちづくり学習ハンドブック(総33頁)を作成した。 以上を総括すると,生活博物館活動をはじめとする諸行事に参加している子ども達には,まち空間認識が豊かに育つとともに,まちづくり意識も高揚していることが読みとれる。「生活博物館活動」という子どもと大人の協働型まちづくり学習の反映の結果であり,今後このようなパートナーシップ型学習が広がることが予想される。
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