研究対象は、大分県内に所在する精神薄弱者更生施設17施設および入所型の授産施設2施設の計19施設である。当年度は、施設の概要データの加えて利用者データ分析を行い施設利用者の分析を発展させ、これに基づく施設特性の把握を行い、これを裏付けとした施設の将来像を見定めること、さらに建築計画的知見に結びつける一助とすることを目的としたものである。施設利用者に関する事項としては、利用者構成を高年齢化の程度と障害の重軽2軸の指標によって捉え、また、日中活動内容の特性および余暇的時間における行為内容と遂行場所に関する分析などを行った。建築的事項としては、入所施設の平面構成およびゾーニング構成を捉えた。平面構成の特徴として指摘される居室部分に小舎制を導入した事例が2施設みられた。施設生活の居住性向上の観点からいえば、大舎制から小舎制への移行が想定されたが、そのような傾向は認められず、また生活実態の上からも、公と私の使い分けが必ずしも計画理念通りには実現していないことが挙げられ、その要因の精査が課題として確認された。
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