地域に根ざした木造住宅生産供給を担っている、各地の中小工務店の支援を目的に、平成5年に認定制度が整備され実用化された新世代木造住宅供給システムは、平成9年当初で16システムであった。これらについて、その利用工務店の調査を行ったが、その結果、利用工務店の評価はおおむね良好で、一応の成果が上がっていることがわかった。また、その一方で、なお様々な課題が指摘され、それらの適切な解決が望まれることも明らかとなった。具体的には、プレカット材やパネルと言った資材供給などのハード面の支援や、営業マニュアルなどの使いやすいツールなどがよく利用され、効果を上げている反面、システムによって供給実績に差があり足並みがそろっていないことや、工務店にとってこのシステムの意義やねらいを理解することが難しい等の課題が判明した。また、このシステムの普及にとって、公に期待される役割が大きいことも指摘されている。現在、調査結果の分析途上にあるが、システムそれぞれの特長を生かした工務店支援について、方向を明らかにしていくことが、当面の研究課題として重要であると考えている。この調査に並行して、木造軸組構法住宅の新しい技術開発の動向について資料収集を行っている。木造合理化システム認定を受けた構法や、環境への配慮により考案された構法が、近年数多く開発実用化されているが、それらが広く各地の工務店に利用されるための方策が望まれている。 次年度は、本年度の成果を踏まえて、地域に根ざした木造住宅生産供給システムについて、そのイメージアップを図りたい。
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