新世代木造住宅供給システムは、中小工務店による木造住宅供給を支援することを目的に、建設省によって平成3年に開発が始められ、平成6年から実用に供されている。本研究は、実用化されて間もない本システムについて、その供給と利用の状況について調査し、現状の問題と今後の課題を明らかにし、中小工務店による住宅生産供給の活性化の展望を図ることを目的として行っている。 1997年度は、主にシステム利用者を対象とする調査を行い、次のことが明らかになった。システム利用工務店は、概ねこの制度の趣旨を生かして活用している。工務店の利用が進んでいるのは、資材供給、営業・設計・施工のマニュアル・パンフレット類である。システム利用工務店は、システム供給者に対し、一層のコストダウンを望んでいる。 1998年度は、前年度の成果を踏まえて、システム供給者を対象に調査を行い、システムの供給状況を捉えると共に、供給者の立場からみたシステムの今後の課題について検討を行っている。主な結果は、次に示すとおりである。システムの供給状況は全体として伸びている。資材供給たけでなく営業や設計などのソフト面の支援の重要性が多く指摘されている。システムにより、供給内容供給姿勢に相違が見られたが、それぞれ今後に対し積極的な取り組みを行う様子が捉えられた。地域特性を的確に捉え、システムの特長を生かした供給促進が期待される。 以上本研究は、新世代木造住宅供給システムについて、調査に基づき現状を捉え今後の展望を明らかにし、このシステムが、中小工務店の支援と、それを通した地域に根差した住宅生産供給の活性化に有効であること、このシステムの発展にはなお克服すべき課題が少なくないことを論じている。
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