高齢化社会の進行に伴い社会的あるいは行政による公的な支援や助政策が充実していく中にあっても、当の高齢者は依然として親子関係を軸とした肉親のサポートにより老後を送りたいとの要求が根強くあり、今後もその形態はともあれ子供世帯が老親の住生活を支援していくという構図は続いてゆくものと予想される。 一方、子供の側から見ると、老親を物質的および精神的に支える義務への自覚はあっても、できるだけ干渉を受けずに独立した生活を営みたいとの要求は社会が近代化するほど強まり、かつてのように同居という居住形態によって親の住生活を支えることへの抵抗感は強まっているものと推察される。 このような親世代と子世代間の意識のずれは、当然のことながら親子両世帯の居住関係に大きな影響と変化をもたらしている。 本研究は、高齢者住生活のサポートを意図した親子2世帯居住を、同居、隣居、近居、準近居に分類し、西日本地域(中国、四国、九州地方)における全市町村へのアンケートを通して、各々の居住形態の地域的出現分布傾向とその要因を解明した。 調査の結果、以下の諸点が明らかになった。、(1)西日本全域において従来の同居型居住から、隣居、近居、準近居などの親子の独立性を企図した居住関係への移行が顕著である。(2)隣居、近居、準近居の出現比率は地域によって異なるが、DID都市周辺において近居が多く出現し、DID都市から離れるに従って準近居が増加する。また、隣居は地域特性にかかわらず、一様に出現する傾向がみられる。(3)準近居の出現比率は、当該自治体の就業者中に占める他自治体への通勤者の比率に比例する。すなわち、DID都市への就業率に比例する。
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