復興公営住宅に人居した要援護高齢者の生活実態と課題 阪神・淡路大震災で被災した高齢被災者の多くが、避難所、仮設住宅を経て、災害復興公営住宅へとその生活の場が移ってきた。震災前の住まい、住環境とは異なる地域、住宅形式である復興公営住宅に入居し、生活の上で様々な問題を抱えている高齢者が多いと考えられる。そこで、本研究では、被災地の災害復興公営住宅の中でも大規模な団地の一つである南芦屋浜復興公営住宅団地をとりあげ、そこに入居している高齢者を中心にアンケート調査を行い、その生活実態と課題について分析を行った。その結果、以下の点が明らかになった。 まず第一に、南芦屋浜団地に入居した人達の中に占める高齢者の割合は極めて高く全体の40.4%を占めていることが明らかになった。シルバーハウジング、老人世帯向け住戸だけでなく、一般住戸にも多数居住している。第二には、入居した高齢者の生活上の問題として、高層・鉄筋コンクリートという建物形式、最新の住戸設備等に適応できていないことや交通、買い物、通院の不便さに困っていることが明らかになった。第三には、震災前の生活と比べると、人付き合いや外出行動が減っており、特に高齢になるほどその傾向が顕著になっている。第四には、現在の生活の全体評価については、満足と答えている物が多いが、生活上の問題や外出の不便さなど個々の問題には不満が多く、「他に行くところがないから」という消極的な居住継続意向の者が全体の四分の一を占めていることが明らかになった。
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