復興公営住宅に入居した要援護高齢者の住生活実態と生活サービスニーズ 平成11年度までにケア付き仮設住宅に居住する高齢者の生活実態とその評価および復興公営住宅に入居直後の高齢者の生活実態に関する調査を行ってきた。今年度は、昨年度までの研究成果をふまえ、さらに復興公営住宅に入居してから1年半を経た高齢者の住生活の実態について調査をすることにより、高齢者にとっての居住空間とあわせた生活サービスの必要性について分析を行い、以下の点が明らかになった。 まず第一に、南芦屋浜団地に入居した高齢者は、病気や健康について不安を抱えているものが多いことがわかった。65歳以上の高齢者の75%は病気を有し通院している。一人ぐらしの高齢者の中には、病気で寝込んでしまった時の生活について不安を感じているものが多い。第二には、入居している高齢者の生活サービスに対するニーズが高く、LSA(生活援助員)が24時間常駐していることに対して高く評価していることが明らかになった。生活サービスの今後の希望では特に食事・調理援助についてのニーズが高くなっている。このサービスは、現状のLSAの安否確認・見守りの業務を越えた内容であり、新たなサービス提供システムの必要性を示唆している。第三に、介護保険の介護認定が進められる中、介護保険による生活サービスが受けられるか、費用負担ができるかなどについて多くの高齢者が不安を抱いていることが明らかになった。 復興公営住宅にはシルバーハウジングだけでなく、一般住戸にも多数高齢者が居住しており、その多くは病気や健康上の不安を抱えていることから、今後入居者の生活サービスニーズがますます高くなる。高層集合住宅であること、集合規模が大きいことを考慮にいれた、生活サービスの提供を新たに検討することが求められる。特に、介護保険の対象とならない自立判定の高齢者に対する一時的なケアや予防的なケアの整備が重要である。
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