課題は1.児童書コーナーと一般書コーナーの配置の関連性 2.開架フロア-の各コーナーに求められる座席数を明らかにすることである。まず、1については1)子どもと親のファミリー利用において両方の主目的利用を達成するためには、互いが分離した<分離>利用が多い。2)分離の仕方は4つのタイプ(分離タイプ)があり、子どもの学年段階が上がるにしたがい、前半分離タイプより完全分離タイプが増える。3)<分離>利用においては分離している間も子どもと親の接触がみられ、特に子どもが一定自立した利用となる完全分離タイプにおいて児童書コーナーと一般書コーナーの行き来が多い。4)空間の型の隣接型(児童書コーナーと一般書コーナーが隣接した配置)では親の介助を必要とする幼児において前半分離タイプが増え、子どもと親が児童書コーナーを拠点としたく分離>利用の形態となる。以上からファミリー利用においては隣接型のコーナー配置が有効であることを実証した。次に、2については1)各コーナーの利用人数と座席利用者数の対応関係から、必要座席数は各コーナーの最大利用人数に対して、児童書コーナーが1.1席/人(お話コーナーを含む)、新聞・雑誌コーナーが1.0席/人、AVコーナーが1.0席/人が目安となる。2)各コーナーの最大利用人数は図書館利用のピーク時の各コーナー利用人数とそれほど変わらないため、一般書コーナーはピーク時の図書館利用人数の約30%+10席、児童書コーナーは約24%+4席、AVコーナーは約19%-5席が目安となる。3)ピーク時の図書館利用人数は1日の延べ利用者数の約10%である。1日の延べ利用者数は貸出冊数との相関が高い。したがって、図書館計画において1日の貸出冊数の目標値を決めれば各コーナーの最大利用人数が求められ、必要座席数の概数を求めうることが明らかとなった。
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