高齢者や障害者の住宅改善に関する専門的技術者(理学療法士や建築技術者)が、日常的・継続的支援者である訪問看護婦などから提供される当事者情報をもとに、頻回に現場に臨むことなく有効な住宅改善プランを立てるために必要なアセスメント票の内容項目と書式を明らかにしようとした。また、そのアセスメント票を用いて日常的・継続的支援者への住宅改善支援に関する技術移転と動機づけを与える方法を検討した。 この目的のため、3つの地域をフィールドとして、地元の日常的・継続的支援者と首都圏の住宅改善の専門的技術者(理学療法士と建築技術者)の間のアセスメント情報の提供、改善プランの立案、同行訪問による現場でのプラン立案という支援を実際に行なった。これをもとに、アセスメント情報の内容を検討し、そのアセスメント票を用いた遠隔地支援の方法を考察し、以下の知見を得た。 1. アセスメント票には、当事者のディマンズではなく、日常的支援者の認めるニーズを具体的に記述するために、動作シミュレーションの実施、見取り図の採取、生活目標の把握などが重要である。 2. 上記アセスメント情報に、動作を行なっている写真やVTRが加えられることによって、遠隔地の住宅改善の専門的技術者が訪問を割愛して住宅改善プランを立案することは一定程度可能である。しかし、現場での確認作業によってはじめて認められる事実も多く、専門的技術者の直接的な支援には限界がある。 3. 専門的技術者が、現地の日常的・継続的支援者に対して住宅改善の技術移転と動機づけを与えるという間接的支援が有効であり、そのために上記アセスメント票を活用した具体的支援活動が、1つの効果的方法となりえることが示唆された。
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