本年度は首都圏に於ける(1)中古価格の変動に関する調査、(2)既存の総理府住宅統計調査データーの整理分析、(3)97年度に実施した107管理組合へのアンケート調査結果の分析と個別管理組合への現地視察及び管理者への直接ヒヤリング10管理組合で実施した。具体的には以下の通りである。 (1)については97年度に平成2年10月と平成9年の10月の2時点調査(N=275)を実施したが、この調査にさらにデーター数を加えた(N=402とした)。さらにこれに平成11年2月時点のデーターを加え3時点の変化を見た。小規模、遠隔地、長期経過住宅の価格低下が引き続き激しいが、各立地自治体の平均床面積を下回る住宅の価格低下が激しいことが判明した。 (2)の調査は首都圏、中部圏、近畿圏の各大都市圏域でマンションの価格低下状況に差が見られることの原因を確認すべく行ったものである。特に中部圏の場合、極度の低価格住宅が発生しているが、これは都心から遠隔地に行くほどマンションの平均床面積と、全住宅の平均床面積の差が大きく解離するためであった。近畿圏では神戸、大阪、京都の3極構造となるため、距離による同様の床面積格差は中部、首都圏に比べて少なく、従って極端な低価格化が見られない原因となることが判明した。 (3)では低価格化する団地ほど管理費等の長期未納者の発生率が高いのが判明したが、住宅プランが複数計画された団地の方が単一の計画の場合より発生率が少ないことが判明した。これは前者の方が団地内住み替えが多く、従って住民の管理の体験が集積されるためである。地価の下落、居住者の高齢化によって建て替えや維持管理の環境はさらに悪化しつつあるが、高齢化対策では新たな特筆すべき動きが徐々に展開されつつあるようた。
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