約35件の文献および関係者の聞き取り調査に基づき、旧樺太における建築活動を支えた官庁建築組織、具体的に樺太守備隊、樺太民政署の営繕組織、樺太庁建築課の概要と各組織の建築技術者名のほか、主要技術者として田村鎮(1878〜1942)、湯川甲三(1853〜1915)、貝塚良雄(1900〜1974)らの経歴と建築活動、さらに不十分ながら樺太庁鉄道事務所の建築組織と構成員の概要および民間企業ほかの建築技術者28名について概要を明らかにすることができた。 建設請負業者に関しては72名を特定し、中心的業者として活躍した遠藤米七および遠藤組の活動、その他の業者から渡辺彦太郎、大橋秀次、飛田専太郎らの簡単な経歴を明らかにすることができた。 調査研究の結果は、データベースとして建築技術者92名については、学歴、生没年、経歴、作品活動などの活動についての特記事項、参考資料などの項目についてまとめ、また建築請負業者72名については、関連業種、関連組織、出身地、生年月日、北海道での活動期間、渡航年、樺太における活動拠点、関連鉄道工事、経歴と活動内容(特記事項)などについてまとめることができ、今後の旧樺太における建築活動や建築史研究の基礎データとして、意義ある成果を挙げることができた。
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