【メイン・ドーム等高線数値データの解析】 殻面の歪みの傾向を、等高断面の重心が高さによって移動する様子から確認した。具体的には、高さ48mないし49mまでは重心の移動量は小さく、50mから52mの間で次第に大きくなり、頂点に近づくにしたがって偏芯の傾向はますます増大する。この傾向は南北方向よりも、東西方向においてより顕著に認められる。これは西側の殻面が10世紀に、また東側の殻面が14世紀にそれぞれ再建されたときの不整形を反映したものと考えられる。 数値データを、スプライン関数を用いて平滑化することによって、リブごとの歪みの傾向を把握した。その結果、l)9番リブから14番リブまでと28番リブがら35番リブまでは、他のリブに比べて比較的なめらかであること、2)リブの歪みの傾向は、8番リブと9番リブ、14番リブと15番リブ、27番リブと28番リブ、および35番リブと36番リブの間でそれぞれ大きく切り替わることが分かった。これらの事実は従来言われてきたドームの建設年代の区分を裏付ける。 【ドーム・コーニス施工線の解析】 筆者らは、1998年の現地調査で、施工線を精査した結果、ドーム・コーニスが変形している幾つかの痕跡を観察し、記録することができた。これらの変形を補正した後に、最小自乗法によって施工線の半径を求めたところ、筆者らがこれまでに得た結果とは別の結果を得ることができた。これはメインストーンらの結論と同一のものであるが、ドーム・コーニス変形の変形を考慮しての解析は独自のもので、ドーム・コーニスの変形の大きさと変形の過程を明らかにした点で大きな意義がある。 【テュンパヌムの測量と図化】 解析図化機により等高線(水直面に対する)間隔5cm縮尺50分の1の等高線図2面(図32:北側テュンパヌム、図33:南側テュンパヌム)を得ることができた。
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