研究概要 |
神社本廳所蔵の史料をもとに,下記の調査・分析を行った(カッコ内は担当者)。 1.角南隆史料のうちの営繕関係文書・図面を調査・分析し,角南が大正末期から昭和戦前にかけての官国幣社営繕事業の指導者であったこと,その方針は,神社制限図批判をもとに,各社殿の有機的関係や多様性,機能性,神社らしさの表現を重視するもので,昭和戦前の内務省の神社営繕にはその方針がよく反映されていることを明らかにした(藤岡)。 2.「府県別官国幣社土地建物台帳」(仮題)の考証を行い,データベースを作成した(藤岡)。同台帳は大正13年頃に内務省神社局によって作成され,全部で189社の情報が掲載されていること,その後も台帳として改訂され続けたと考えられること,貴重な史料といえることを明らかにした。(藤岡) 3.官国弊社営繕予算について調査し,予算が十分であったのかどうかについて,分析している。(藤岡,調査中) 4.官国弊社のうち,国宝建造物の営繕は内務省神社局で行っていたことを確認し,仕様書などから,その内容を分析し,いい材料を用いてていねいな修理をしていたことを明らかにした。(藤岡,稲葉) 5.明治初期から大正初期にかけて,官国弊社の営繕に用いられたとされる神社制限図について,谷重雄史料をもとに分析している(藤原,調査中) 以上について,阪本は随時,近代の神社行政の歴史や史料などについて助言し,他の研究者を指導している。
|