居住空間構成法および描画を用いて、幼稚園児に自分の好きな幼稚園を制作してもらう実験を、3年間にわたり延べ70回行った。それと同時に風景構成法も行った。彼らの居住空間構成法作品の分析、および描画や風景構成法との比較から以下のような知見が得られた。 1.居住空間構成法の空間構成は、構造化された意味のある場を持たないものと持つものという二つに大きく分けることができた。また作品群は、「原初的」「場の発生」「囲いと場の共存」「壁による全体統括」の四つの段階に大別することができた。これら居住空間構成法の空間構成から、園児らの心の中にあると想定される偏在、一様分布、正面性保持、方向性保持、原初的囲い、列状、家具類のみで場を構成する図式、完全囲いや完全囲い群を構成する図式、全体を包括的に囲う図式、室や廊下や玄関によって全体を構成する図式を抽出した。 2.描画の作品群は居住空間構成法に対し、「原初的」「構成的萌芽」「構成化」「空間的統括」の四つの段階に大別することができた。居住空間構成法の空間構成と描画の特徴との比較により、それぞれの表現技法を越えたところで、両者に共通の図式を取り出すことができる。比較により、構造化前における囲う図式、同じものを繰り返し配置する図式、ものを自分に対面させて配置する図式、空間構成や表現様式が共に構造萌芽する図式、内外空間を区別する図式、建物やその内部空間などを典型的記号で示す図式、空間全体を統括する図式を抽出した。 3.風景構成法の作品構成が、居住空間構成法や描画とやおおよそ対応していることが判明した。
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