研究概要 |
遷移金属合金や金属間化合物において磁気モーメントや磁気秩序の出現は構成遷移金属原子間距離と密接な関連がある。距離を変化させるために化合物を作製して化学的圧力をかけたり、直接加圧して距離依存の様子を調べるなどの試みがなされている。化学的圧力は物理的に負の圧カの発生がほとんど不可能なことを考えるとそれなりに有効な手段である。ラーベス相のGd_<1-x>Y_xCO_2について化学的な圧力と直接加圧した効果について調べた。本研究では直接原子間距離を変えるための圧力発生装置としてクランプ式マイクロボンベに注目し、非磁性でしかも2GPa程度の圧力が発生出来る様なボンベ材の開発を行った。材料にはジェット機やロケットに使用されているチタン合金(Ti-6Al-4V)で比重が4g/ccと非常に軽く、低温領域にも強い上、磁気特性はパウリ常磁性で4.2Kの帯磁率の値は2.56×10^<-6>emu/gと非常に小さい。高圧容器としてはべリリュウム銅より特性が良く、少なくともこの材料で1,5GPa程度は発生可能である。マンガニン圧力ゲージを用いて発生圧力の圧力較正を行った。応用として、MnBiの温度によるスピン・フロップの圧力効果を交流帯磁率から測定した。Mnのスピンの方向がNiAs型結晶構造のc-面内を向いているときより、c-軸を向いたときの方が体積は大きくなる。そして磁気モーメントの値も大きくなることが分かった。このことは磁気モーメントがc-軸を向くと大きくなる可能性を示している。
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