研究概要 |
本年度はEqual Channel Angular Extrusion(ECAE)法で微細結晶化したPb-62%Sn,Zn-22%Al合金および焼鈍した銅の多結晶を用いて繰返し引張圧縮試験を行い,繰返し一応力ひずみ応答を比較することによって,それぞれ変形挙動を調査した. ECAE法により平均結晶粒径1μmのZn-22%Al合金と5μmのPb-62%Sn合金を作製した.これらのPb-62%Sn,Zn-22%Al合金および焼鈍した多結晶銅(平均粒径75μm)の試験片を用いて繰返し変形を室温,大気中で行った.繰返し変形試験はε_<pl>=5×10^<-4>の定塑性ひずみ制御で行った.ひずみ速度は1×10^<-4>〜3×10^<-3>_s^<-1>の4種類を選択した. 一方向変形試験では,Pb-SnおよびZn-Al合金どちらとも100%を超える破断までの高い伸びを示した.流動応力のひずみ速度依存性も高く,Pb-Sn合金では10^<-4>s^<-1>付近のひずみ速度で超塑性領域であるひずみ速度感受性指数m=0.5が得られた. 繰返し変形試験では,焼鈍した銅では実験開始後の急速な硬化段階の後に応力振幅が飽和しているのに対して,Al-ZnおよびPb-Sn合金では初期段階で応力振幅は飽和状態に達した.Zn-Al合金では飽和応力振幅およびバウシンガ効果はひずみ速度が増加するにつれて増加した.一方,一方向変形おいて流動応力のひずみ速度依存性が大きかったPb-Sn合金では逆に応力振幅およびバウシンガ効果にひずみ速度依存性はほとんど見られず,一方向変形とは異なる傾向を示した. 応力振幅およびバウシンガ効果の繰返し変形でみられたひずみ速度依存性は,Pb-Snでは超塑性変形に必要な熱活性化過程が作用しないこと,Zn-Alでは転移密度が増加することからそれぞれ理解することは可能であった.
|