研究概要 |
本研究の目的は急熱・急冷が可能な球状粒子を用いて,Y-TZPにおいて熱活性型と非熱活性型のマルテンサイト変態が存在することの確認と両者の変態キネティックスを測定することである.平成9年度の実績は以下の通りである. 1.油中造粒機の作製及びY-TZP緻密球状微粒子の作製 造粒条件を制御することにより,200〜1000μmの球状粒子の作製が可能となった.また,得られた造粒粉を乾燥後1450℃で焼結すると相対密度97%以上の球状粒子が得られた. 2.ミクロ膨張計の作製 作製した膨張計は室温から600℃まで1分以内での昇温及びその後の恒温保持が可能である.また,膨張計の変位測定レンジ及び分解能は,500μm程度の球状粒子のマルテンサイト変態挙動は十分の精度で測定可能であった. 3.熱活性型変態及び非熱活性化変態の存在確認 1.5Y-TZPの球状粒子は焼結後急冷すると正方晶が室温まで持ち来される.これらの試料の恒温変態挙動を測定した結果,600℃近辺にノ-ズを持つマルテンサイト変態開始のC曲線が得られた.一方,室温から冷却すると-70〜100℃でバース的なマルテンサイト変態が観察された.今回の実験よりY-TZPにおいては,熱活性型と非熱活性型のマルテンサイト変態が存在することが明らかになった. 次年度は組成及び粒径の異なる球状粒子について定量的なキネティックス測定を行い,核形成機構について考察する.なお,本年度の結果はICOMAT-98において発表予定である.
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