研究概要 |
Al-希土類元素2元系合金薄膜(Al-RE)で,Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb等の希土類元素(RE)を約3at%添加した薄膜を作成し、系統的に熱処理による電気抵抗変化とそのときの組織変化を検討した。その結果、AlとY,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy等の希土類元素の合金薄膜は、熱処理すると電気抵抗が約250℃以上で著しく減少し、350℃以上ではほとんどの合金系で約5μΩcm以下の低い比抵抗値を示した。これらの合金系では熱処理により、Alとの金属間化合物が早い時期に主に粒界に析出し、ヒロックなどの熱欠陥生成を大きく抑制することが分かった。上記のほとんどの合金系で 析出する主な金属間化合物はAl_3REの構造を有していた。 希土類元素を含む酸化物の電子構造の計算より、希土類元素のf電子の状態密度のピーク位置は、Al元素のd電子の状態密度のピーク位置より大きく離れていることが予想される。そのためそれらの金属間化合物のフェルミエネルギーでの状態密度はAlのそれとほぼ同じ値を示すと予想される。このためAl_3RE金属間化合物の電気抵抗値はほぼ純Alと同等と予想されるが実際の計算は現在進行中で今後の課題として残っている。マトリックス中にAl-希土類元素金属間化合物が析出しても、それ自体がAlと同等の低い抵抗を示すと予想されることから、全体として低い電気抵抗を示すと思われる。
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