誘導加熱炉を用いた引き上げ法によりLaBGeO_5単結晶の育成を試みてきたが、SHG測定に十分な大きさの単結晶は未だ得られていない。その原因は、急な温度勾配と融液組成のずれにあることがわかった。緩やかな温度勾配は、誘導加熱炉に白金アフターヒーターを設置することにより実現された。融液組成のずれは硼素やゲルマニウムの蒸発によるものであり、我々の引き上げ装置ではこれを完全に抑えるのは難しい。しかし、温度勾配が緩くなったことにより、硼素やゲルマニウムの蒸発が抑制されるものと期待している。また、蒸発を完全になくす方法として誘導加熱炉を用いたブリッジマン法による単結晶育成も検討し、通常よりも半径が小さい専用コイルと鉛筆型の白金るつぼを作成した。 平成11年度は、以上の二つの方法を用いて、PrBGeO_5も含めた単結晶育成を引き続き行う予定である。 ウェッジ法によるSHG測定装置を組み立て、光学軸調整法を確立した。赤外レーザーを直接目で見ることができないので、Ar-Neレーザーを併用した。二種類の赤外カットフィルターを用いることにより、フォトダイオードは入射光にほとんど反応しない。パソコンによる平行移動機構の制御が正しく行われていることを確認した。装置の性能評価のためKH_2PO_4単結晶の(110)板を楔形に成形し、ダイアモンドペーストによる研磨後に測定を行い、SH光の発生を確認した。しかし、測定されたSH光強度の試料厚み依存性は、計算から予想される振動パターンと一致しなかった。十分に研磨されていない試料表面でSH光が散乱されてしまうことが原因であると考えられる。現在、試料研磨の方法を再検討している。
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