研究概要 |
Horiuchi et al.(1995)がすでにLaBGeO_5の非線形光学定数を報告していたことが判明したため、本年度は同じ結晶構造を持つPrBGeO_5の育成を試みた。粉末試料を用いた測定からPrBGeO_5はLaBGeO_5よりも大きい非線形光学定数をもつと期待されているが、単結晶を用いて独立な非線形光学定数(d_<11>,d_<22>,d_<33>,d_<31>)を決定したという報告はない。 まずDTA測定を行い、PrBGeO_5の融点(1100℃)を決定した。LaBGeO_5と異なり、融液から急冷したPrBGeO_5の表面はガラス化せず結晶化する。これは、PrBGeO_5の結晶育成がLaBGeO_5にくらべて容易であることを示唆している。誘導加熱炉を備えた単結晶引き上げ装置を用いて結晶成長させた。現時点で大型の良質な結晶を成長させることは難しいが、黄緑色の小さな単結晶を得ることができた。粉末X線回折パターンは予想されるPrBGeO_5の回折パターンとほぼ一致しており、4軸型X線回折計を用いて決定した格子定数は報告されている値と良い一致を示す。Bragg反射強度を2θ=80°まで測定したが、強誘電性分域のせいで結晶構造の精密決定にはいたらなかった。 得られた単結晶の大きさは、数ミリ角程度であり、ウエッジ法による測定には十分な大きさとは言えない。しかし、LaBGeO_5にくらべれば単結晶育成は容易であることがわかったので、育成条件を最適化することにより大形単結晶の育成が可能である。
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