研究概要 |
OH基含有量の異なるシリカガラス対して,高出力レーザー(波長 1064,333,355,266nm)を照射したときにガラス内部が破壊するしきい値とエキシマレーザーおよびX線誘起吸収との比較を行った。その結果,エキシマレーザーやX線による誘起吸収強度の増加率と波長266nmのレーザーによる破壊しきい値の間に相関があることがわかった。 エキシマレーザー用に使用されているシリカガラス(OH基含有量約 1000 ppm)にArFレーザー(193 nm)を照射すると,5.8eVにピークをもち半値幅が0.62eVの単一の吸収帯が生じるのに対して,KrF レーザー(248nm)を照射したときには、5.8eVの吸収帯に加えて,ピーク位置が5.4eV,半値幅0.62eVの吸収帯が生じていることがわかった。また,ArFレーザー照射済みのサンプルにKrFレーザーを照射したところ,5.4eV帯が消滅したが,5.8eV帯強度は変わらなかった。 表面を研削または研磨したシリコンガラスにエキシマレーザー(波長248nm,193nm)を照射したときに生じる発光スペクトルは,素材のOH基含有量およびCI含有量に強く依存することが明らかになった。現在データを波形分離により解析中である。 以上のような実験的な研究と並行して,表面構造を分子動力学法による計算機シミュレーションにより研究するためのプログラムの開発に着手した。次年度は、実験的研究と並行して,計算機シミュレーションによる研究を行い,シリカガラス表面の構造および破壊機構の解明を進めていく予定である。
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