本研究では、不飽和結合を有する金属-有機化合物を用いて、チタン酸鉛微粒子-ポリマーハイブリッド材料を合成し、その性質を評価することを目的として研究を行った。まず、チタン酸鉛微粒子-有機ハイブリッド前駆体の合成条件を検討した。鉛-有機化合物の配位子としてメタクリレートを選択し、メタクリル酸鉛とチタンイソプロポキシドを反応させることにより、チタン酸鉛前駆体を調製した。チタン酸鉛前駆体の構造をNMRスペクトルなどにより解析したところ、メタクリル配位子を有する鉛-チタン複合アルコキシドであることが明らかとなった。このチタン酸鉛前駆体の付加重合反応を検討することにより、チタン酸鉛前駆体ポリマーを合成することができた。調製した鉛・チタン-有機ポリマーを種々の条件下で加水分解し、チタン酸鉛微結晶粒子がポリマーマトリックス中で生成することが明らかとなった。加水分解条件を種々検討することにより、チタン酸鉛微結晶粒子を含むハイブリッドを合成することができた。このチタン酸鉛-有機ハイブリッドは膜化する事ができ、その誘電的性質を評価した結果、誘電率は5から6であることが明らかとなった。また、このハイブリッド材料の電気粘性特性を評価したところ、電場の印加に対して粘度の増加が確認された。
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