ITOは透明導電性膜として液晶等の表示素子に使われているが、窒素酸化物であるNOx等に対する薄膜ガスセンサとしての働きもある。NOxは車の排ガス等に含まれており、公害の原因にもなっている。NOxはNOとNO_2の混合物であるが、NOに比べNO_2の方が毒性は高い。我々は、スパッタや電子シャワー法でITO薄膜を作製し、NO_2ガスに対するガス検知特性を調べた。その結果、膜厚が20mm以下になると感度が急に増加した。また、スパッタ膜に比べ電子シャワー膜は表面が荒れており、感度特性が優れていた。センサ温度としては250℃が最も感度が高かった。例えば、NO_2200ppmに対する感度(NO_2200ppmガス雰囲気中での膜抵抗/乾燥空気中での膜抵抗)は100であった。さらに応答速度も速かった。つまり、ITO透明導電性膜を使って、優れたNO_2ガスセンサ膜を得ることが出来た。 一方、光触媒を使ってトンネル内のNOxガス濃度を軽減することが考えられている。従来、この光触媒による分解量を求める方法としては、ガスクロを主に使っていた。しかし、この方法では連続測定が出来ない。我々は、安価でより簡便な方法として、このITOガスセンサを光触媒に応用した。その結果、測定前に検量線を求めることにより、再現性のある測定を可能にした。 TiO_2やZnOは光触媒作用があることが知られている。我々はめっき法で安価なZnO膜を作製して、NO_2ガスの分解速度をITOガスセンサでモニターした。その結果、表面が荒れている試料の方が優れていた。 酸化インジュウムの光触媒反応については殆ど研究されておらず、またITO自身については全く研究されていない。そこで、本研究でITOの光触媒反応についても調べた。その結果、ITO膜にも光触媒作用があることが分かった。
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