1.ペロブスカイトのAサイトアルカリ土類の置換がマイクロ波誘電特性に及ぼす影響 調合組成が(A′_<1-x>A″_x)BO_3で表される各組成試料の緻密な円盤状焼結体(相対密度が約96%以上)を作製した。その生成相を粉末X線回折法により同定し、さらにマイクロ波誘電特性を測定した。研究組成ならびに結果の概要を次に箇条書きする。 1-1 研究した組成を次のように表示する。これは調合組成であり、単相生成の場合のみ化合物の組成である。(Ba_<1-x>Ca_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3、(Sr_<1-x>Ca_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3、(Ba_<1-x>Ca_x)(Mg_<0.3>Ta_<0.6>Zr_<0.1>)O_3、(Ba_<1-x>Ca_x)(Zn_<1/3>Ta_<2/3>)O_3、(Ba_<1-x>Ca_x)(Zn_<0.3>Ta_<0.6>Zr_<0.1>)O_3、(Ba_<1-x>Ca_x)(Y_<1/2>Ta_<1/2>)O_3 1-2 比誘電率 全てのBa/Ca系で比誘電率がBaBO_3へのCaの置換固溶限界の組成で極大となり、Sr/Ca系では直線状の組成依存であった。Ba/Ca系の比誘電率の線形則よりの逸脱最大増加率が40〜50%に分布そたが、(Ba_<1-x>Ca_x)(Y_<1/2>Ta_<1/2>)O_3系のみで28%という小さい増加率を観測した。 1-3 誘電損失 全ての組成系でxが0または1の試料の誘電損失が小さく、その両端から離れると急激に誘電損失が増加した。この事実より、原子配列の小さな不規則が誘電損失を急激に増大する事が明らかである。 2.静電容量の圧力依存性 (Ba_<1-x>Ca_x)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)O_3系試料の静電容量の圧力依存性を常温〜200℃、最高1.5GPaの範囲で測定し、次の結果を得た。即ち、静電容量の圧力による減少率は、比誘電率が大きい組成ほど顕著である。そのため、静電容量圧力係数の組成依存性は比誘電率の組成依存性と対称的形状になり、さらに、温度の上昇と共にその凹みが浅くなる。
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