研究概要 |
これまで研究してきた主な組成系は(A_<1-X>A'_X)Zr0_3、(A_<1-X>A'_X)(Mg_<1/3>Ta_<2/3>)0_3、(A_<1-X>A'_X)(Zn_<1/3>Ta_<2/3>)0_3(A,A'=Ba,Sr,Ca)であった。昨年度より新たに(Ba_<1-X>A'_X)(B_<1/2>B'_<1/2>)0_3(A'=Ca,Sr B=Y,Nd : B'=Nd,Ta)で表わされる調合組成系を研究し、大略下記の結果を得た。 1.調合組成(Ba_<1-X>Sr_X)(Y_<1/2>Ta_<1/2>)0_3系で単一化合物が生成するのはxが0.6までで、0.8では単相とならなかった。また、xが0.2の単相生成物は既に立方晶では無く、Ba(Y_<1/2>Ta_<1/2>)0_3相へのSrの固溶限界xが0.2未満と小さいことが判明した。 2.調合組成(Ba_<1-X>Ca_X)(Y_<1/2>Nb_<1/2>)0_3系はxが0.2までは単相であり、0.4では少量の第2相が生成し、xと共に第2相が増加した。相対密度96%程度以上の焼結体で求めた、x値-比誘電率-fQ値[TH_Z]の一部をこの順で示す。0.0-34.1-50.3、0.133-39.8-1.89、0.2-44.1-0.94、0.4-39.9-1.06 3.調合組成(Ba_<1-X>Ca_X)(Y_<1/2>Ta_<1/2>)0_3系はxが0.15までは単相であり、0.2では微量の第2相が生成し、xと共に第2相が増加した。緻密な焼結体で求めた、x値-比誘電率-fQ値[TH_Z]の一部をこの順で示す。0.0-30.1-20.1、0.15-36.9-1.0、0.2-36.8-1.0、0.4-33.7-1.1 4.NdあるいはGdを含む(Ba_<1-X>Ca_X)(Nd_<1/2>Ta_<1/2>)0_3や(Ba_<1-X>Ca_X)(Gd_<1/2>Nb_<1/2>)0_3系など調合組成と生成物の関係は上記と全く異なり、例えばxが0.6に及ぶ格子面間隔の連続変化が見られた。相関し、比誘電率が組成に対し連続変化して、上記とは様相を異にした。Nd^<3+>、Gd^<3+>、Ca^<2+>のイオン半径が比較的近いため表記のAサイト置換に納まらず、これらイオンがAとB両サイトを複合して占めると推察した。 5.(Ba_<1-X>Ca_X)(BB')0_3系で置換固溶限界の組成で誘電率が極大となる現象は、従来と同様に上記2.および3.でも見られ、一般性が広まった。しかし、2.と3.の誘電率極大の増加率(34%と28%)が、従来のそれ(40%-49%)より小さいことが注目される。
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