研究課題/領域番号 |
09650749
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐々木 元 広島大学, 工学部, 助教授 (30192595)
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研究分担者 |
吉田 誠 広島大学, 工学部, 助手 (80277847)
福永 秀春 広島大学, 工学部, 教授 (90034347)
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キーワード | 変形 / 破壊 / セラミックス / アルミニウム合金 / 複合材料 / 界面 / 機械的性質 / 透過電子顕微鏡 |
研究概要 |
本研究では、複合材料として特に、高圧鋳造法で作製したTiO2粒子強化Al複合材料およびAl18B4O33ウイスカ強化Al合金複合材料の微視的変形・破壊挙動を、走査電子顕微鏡法および透過電子顕微鏡法を用いて原子的レベルで明らかにした。得られた結果は以下の通りである。 (1)TiO2/Al複合材料:TiO2は、鋳造時およびその後の熱処理によりAlと反応し、Al-Ti合金およびAl2O3を形成し、硬化する。as-cast材では、TiO2とAlの界面には明確な整合性は認められないが、熱処理により、生成したAl-Ti金属間化合物同士の界面、およびAl2O3とAl-Ti金属間化合物の界面では原子的に整合性の良い界面を形成していた。しかしながらこれらの界面はクラック進展の経路となっており、破壊に大きく関与していることが分かった。 (2)Al18B4O33ウイスカ/Al合金複合材料:複合材料はスクイズキャスト法を用いて作製した。マトリックスとして純Al、Al-1%Mg合金、AC8A合金を用いた。これらの複合材料のウイスカ/マトリックス界面は、as-castの状態では、原子レベルで反応生成物は見られない。この界面には明確な特別な方位関係は見られなかった。破壊は、この界面を進展する傾向が強い。また、複合材料は熱処理をすることにより、ウイスカ/マトリックス界面に島状の反応生成物を生成する。マトリックスが純Alの場合、その反応生成物はγ-Al2O3であり、Al-1%Mg合金、AC8A合金ではスピネル構造を有するMgAl2O4である。また、反応が進行するに伴い、ウイスカ自体が反応により部分的に細くなる。反応生成物とウイスカの間には、整合性の良い特定の方位関係があり、界面強度も大きい。クラックは、ウイスカ/マトリックス界面および反応生成物/マトリックス界面を進展する。島状の反応生成物はアンカリング効果により複合材料の強度上昇の因子となる。一方、ウイスカの劣下は強度低下の原因となることが分かった。
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