研究課題/領域番号 |
09650754
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
麻生 節夫 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80167915)
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研究分担者 |
後藤 正治 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (50005948)
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キーワード | クロム白鋳鉄 / クロム炭化物 / 鋳造複合材料 / 高温変形 / 圧縮強度 / ロール材料 / ひずみ速度依存性 / 摩耗 |
研究概要 |
本合金系の主な共晶合金の構成相は鉄基地、M_7C_3型クロム炭化物(約30vol%)、黒鉛(約5vol%)である。このような多相合金の機械的性質の評価は、各相個々の物理的な性質とともに、複合的な評価が必要となる。そこで、炭化物量と高温強さの関係を基本的なFe-Cr-C系で炭化物の体積率を20vol%〜50vol%まで変化させて調べた。この合金の炭化物量はC量で変化し、3.5mass%が共晶でこれより炭素量が低いと亜共晶組成、多いと過共晶組成になり炭化物量とともに凝固組織も変化する。複合則では、炭化物割合が増加するほど圧縮強さおよび硬さが向上することになるが、実験結果では共晶組成合金の圧縮強さおよび硬さが最大となった。一方破断時のひずみ量は炭化物量が少ない合金ほど大きい値を示す。各合金の圧縮試験後の組織から炭化物と鉄基地との変形過程の相互作用について考察した。硬質相である炭化物も試験温度が873K以上では、塑性変形し、この場合応力-ひずみ曲線が見掛けの加工軟化タイプをとる。次年度は黒鉛晶出型クロム白鋳鉄で期待される耐摩耗性について検討する。この材料はロール材として開発された経緯から、すべり摩耗を中心に実施する予定である。熱処理によって強化がはかられる鉄基地、Hv1800と高硬度でしかも強靭なクロム炭化物、潤滑作用が期待される黒鉛の各相が、すべり摩耗の際にどのような挙動をとるかを 1. 大越式摩耗試験機によるすべり摩耗の速度依存性の評価 2. 摩擦摩耗試験機による摩擦係数と潤滑性の関係の評価 によって明らかにしていく。
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