研究課題/領域番号 |
09650758
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 進 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (10023293)
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研究分担者 |
中野 裕司 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (40198164)
石政 勉 名古屋大学, 工学部, 助教授 (10135270)
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キーワード | 準結晶 / 正20面体相 / フェイゾン / 歪 / 歪緩和 / 磁化率 |
研究概要 |
Al-Pd-Mn系F型正20面体相準結晶に840℃の熱処理を加えた後水急冷して準結晶格子の高温における状態をクェンチして出発試料とした。高感度磁気天秤中で熱処理を加えながらこの試料の磁化率を測定し、準結晶に特有なフェイゾン歪の緩和の理論が予想している、緩和初期に時間の平方根に従う変化を見い出した。液体ヘリウム温度における磁化の磁場依存性の精密な測定と解析から、Al-Pd-Mn系F型正20面体相準結晶においては、Mn原子のなかの一部の原子のみで局在磁気モーメントが発生し、その発生の条件はMn原子の置かれた環境に敏感に依存することが分かったので、上の時間依存性はフェイゾン歪の緩和によると考えられる。上の熱処理のなかでF型正20面体相の結晶構造が不変であることを、本補助金によって購入したX線試料高温加熱装置を用いたX線回折実験によって確かめた。 また、Al-Pd-Mn系正20面体相準結晶に室温で140kgf/cm^2の圧力を加えたのち高感度磁気天秤中でその磁化率を測定した。この場合も、緩和初期に時間の平方根に従う変化の徴候を見い出したが、その再現性と室温より高温での緩和についてさらに研究を進めている。また、本補助金によって歪ゲージを購入してAl-Pd-Mn系正20面体相準結晶に圧力を加えたときの巨視的な歪の時間変化を測定する実験を進めている。上の測定からフェイゾン緩和の時定数が数十時間程度と長いことが分かったので、現在高感度で安定な歪の自動測定システムの整備を進めている。
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