| 研究概要 |
Fe_3Alをベースとする擬二元合金(Fe_<1-x>M_x)_3Alについて,各種の遷移金属Mで置換することによりB2構造に対するD0_3構造の安定性を制御し,さらに高温強度の向上を達成し得るかどうかを追求した結果,以下の知見が得られた.
1.(Fe_<1-x>M_x)_3Alにおいて,M=VおよびMoで置換した場合について圧縮試験を行ったところ,いずれも微量の添加によって室温での降伏応力はFe_3Alの半分程度まで低下したが,さらに組成が増加すると,固溶硬化によって降伏応力は徐々に増加していく.M=Vでは,x=0.2付近の組成からは規則度の上昇のために降伏応力は減少しており,ホイスラー組成(x=0.33)で最小値をとる.しかしM=Moでは,析出物が形成されるために析出硬化によって降伏応力は著しく高くなる.
2.M=Moの場合について高温圧縮試験により降伏応力の温度依存性を調べた結果,D0_3-B2変態温度の上昇に対応して,降伏応力のピークがより高温側にシフトしていくことを明らかにした.また,歪速度急変試験を行って歪速度敏感性の温度依存性を調べた結果,降伏応力が低い中間温度域ではほぼゼロで一定値をとるが,ピーク温度付近で急激に大きくなることが分かった.さらに,Mo組成の増加によってD0_3-B2変態温度が高くなると,歪速度敏感性が急増する温度も高くなっており,降伏応力のピークの発現と対応している.
3.M=Tiの場合は,3d遷移金属の中で最もD0_3-B2変態温度の上昇効果が大きいことが知られている.しかし,Ti組成の増加にともなって,降伏応力のピークの幅は広くなっているが,M=VおよびMoの場合のようにピークがシフトするという結果は得られなかった.また高組成(x【greater than or equal】0.15)のTi合金では,変態温度の上昇にもかかわらず高温側の強度は急激に低下している.
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