研究概要 |
初年度に試作した新形式の高温活性プラズマプロセッシング装置を稼動させて、本年度は金属表面の直接セラミックス化を実施したところ、機械加工性の良い耐熱材料として実用化が期待できそうな有益な成果が得られた。 宇宙航空・エネルギー関連産業分野で重要な材料であるチタンTi,ジルコニュウムZr材料について、その表面層を数10ミクロンの厚いセラミックス(TiC,ZrN,ZrC)層に直接改質することに初めて成功した。Zrの窒化物改質層では1400℃・3時間窒化で、60ミクロン、ビッカース硬度3000kg/mm^<-2>以上に達した。 本改質層のセラミックスは基板自体の元素であるTi,Zrが炭化物、或いは、窒化物に部分的に変態するものである。その結果、従来のCVD・溶射などの表面被覆法による場合とは幾つかの点で異なる。特に、改質層の界面状態が本手法では連続的な濃度勾配をもつため、剥離に強く、熱伝導性、機械強度などについて傾斜機能性を示す材料が創製できたことになる。また、改質加工前・後に、改質層の直近に冷媒チャネル切削などの機械加工が施せるため、実効的な耐熱性の向上が期待できる。 次年度最終年度には、電子ビームによる改質層の融点(分解温度)測定、イオンビーム、及び、20MeV電子ビームをプラズマプロセッシングの前照射として用いることにより炭・窒化温度の1000℃程度への低下を目的とする実用化のためのR/D、及び、その機能解明を目指す。
|