研究課題/領域番号 |
09650762
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大崎 修平 山口大学, 工学部, 助教授 (00035049)
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研究分担者 |
上西 研 山口大学, 工学部, 講師 (50177581)
飯野 牧夫 山口大学, 工学部, 教授 (20253164)
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キーワード | アルミニウム合金 / 応力腐食割れ / 微細結晶粒 / 粒界 / き裂先端塑性域 / 水素脆化 / 負荷モード / 析出 |
研究概要 |
構造用材料はつねに強度・靭性・環境強度の三者の組合せを考慮し、その最適化を図る必要がある。近年、Al-Li合金を始め7050系、7090系等の新世代の高強度アルミニウム合金の開発が進められ、軽量化構造材料として期待されているが応力腐食割れ(SCC)で代表される環境強度問題が未解決であるために実用化が遅れている状態である。SCC抵抗の改善のみならず、強度、靭性、成形性などとのバランスにおいて性能の向上を達成するには「結晶粒微細化」が有力と考えられる。 SCCに及ぼす結晶粒微細化の果たす役割の本質を解明する上で、先ず、結晶粒形態とSCCの関係を調べた。すなわち、7075-および7175-T6合金の実用厚肉展伸材におけるSCCに及ぼす結晶粒組織の異方性と負荷モードの影響を調べた結果、I-II混合モード作用下でモードII成分の付与が増すとS-L方向ではSCCが遅延するが、一方、L-S方向では加速された。また、I-III混合モード作用下でモードIII成分の付与が増すとS方向のSCCは遅延し、L方向では発生が促進される傾向が認められた。このときのSCCき裂の進展や形態の微視的な観察にはツールスコープ並びに購入設備であるレーザーフォーカス変位計を使用した。これらの結果より、割れ過程には水素ぜい化が支配的な役割を果たし、き裂先端塑性域内にある結晶粒のサイズと粒界の配置がSCCの支配要因であることが分かった。 そこでさらに、7475合金の同一鋳塊より作製した結晶粒度の異なる3種類(10、35および110μm)の薄板を用いて、負荷モードの成分を変えてき裂先端塑性域サイズを制御したSCC試験を行う予備実験を開始した。ミクロ組織観察及びき裂先端の局所的な応力・ひずみ場の弾塑性有限要素解析を併せて行い、結晶粒微細化の本質の解明とそれに基づく、強度・靭性・耐SCC性バランスの最適化指針を明らかにする。
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