(1)試料準備 Kの濃度を40〜100質量PPM内で5種類に変化させた細線(φ0.13mm)各1kmを購入した。そして、真空中における直流通電加熱によってインターロックの程度の異なる種々の形状を持つ2次再結晶粒を成長させた。 (2)2次再結晶粒の形状の3次元的測定 焼鈍後の試料を樹脂に埋め込み、研磨、腐食して粒界を現出させた。線材軸方向に約20μm間隔で500〜1000μmにわたって2次元的な結晶粒の形状を測定し、3次元画像解析装置(ニコン社製コスモゾーン)を用いて粒の立体像を組み立てた。その際に、画像処理ソフトを活用して画像の処理速度と精度の向上に努め、得られた像をポラロイド写真にて記録した。種々の2次再結晶粒の立体像から粒形状に関するパラメ一タ-を求め、それらの値から各材料とも粒の形状がほぼ同一となるような熱処理条件を決定した。 (3)圧縮剥離破壊試験 決定された条件による焼鈍で各材料の粒の形状をほぼ一定に調整した。さらに粒の形状をほぼ一定に保ったままでバブルの分布状態を変化させる目的で、焼鈍後引き続いて同一温度で保持時間を変化させた熱処理を行った。粒界上のバブルを観察するため、試料を液体窒素中で圧縮剥離破断させた。 (4)電顕観察 剥離破断した試料の破面上のボイドをSEM(JXA-8900R)で観察し、バブルについての粒径分布を求めた。粒内におけるバブルについては線材軸に平行な平滑面でのSEM間察を行った。その結果、多数のバブルが粒界および粒内に存在することが分かり、結果の一部は裏面に示す論文として公表した。 (5)高温引張試験 高温での変形応力に対するバブルの影響については、粒内よりも粒界のバブルの影響が大きいように思えるが、強化機構の詳細については現在実験データを得ながら検討中である。
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