研究概要 |
本年度は装飾用壁材として用いられるJIS-A5052材(Al:96%-Mg2.5%残部Si,Feなど)を試料とし,以下の研究を行った. (1) 結晶粒の粗大化の条件を見いだすための研究.建材などに用いられる厚さ2mm程度のアルミ板の結晶粒を再結晶によ旬、効率よく粗大化させるには,熱処理温度は580℃以上が必要であるが,液相線が620℃付近にあるため熱処理温度は600℃未満とする必要があり、熱処理温度は結局580〜590℃が適当であることがわかった.(2) エッチングした結晶の表面形状と光反射特性の関連についての研究.アルミの(100)面が現出しやすい塩酸と硝酸の混酸を用い,粗大化させた結晶表面をエッチングし,その光反射特性の特徴を結晶毎に調べた結果,JIS-A5052材の粗大結晶は大別して3種類のタイプに分類できることを見いだした.その一つは(A)鏡面に近く,板面で高い正反射率を示す結晶である,他の一つは(B) 四角形の鱗片状凹凸(トタン板状の凹凸)を有する結晶であり,試料表面から有る程度傾斜した面で反射を起こす結晶である.三つ目は(C)高さ2μm程度の波形状の凹凸を有する結晶である.本年度購入した,小径試料用回転ホルダーを用いて反射特性評価評価を行った結果,このJIS-A5052材は昨年度研究を行ったJIS-A1070材に比べて、エッチング面が複雑な形状を呈するために、反射方向の分布が大きくより複雑な輝きを示すことがわかった.これはMg添加による再結晶方位の変化と,エッチングによる表面形態の相違によるものと考えられる.
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